僕らは彷徨っていた。
ここがどこかもわからない。
道が道かもわからない。
周りを見ればライバルだらけ。
はぁ
どうすりゃいい。
今までのステージで手にしてきた武器。
村長との約束。
曲げない信念。
ひたすら真っ直ぐに。ただ、ひたすらに。
やっとたどり着いた、ある巨大都市、モータース。
噂は聞いていた。
そこには、皆が共存できる世界があると。
信じちゃいない。
共存できる世界だと?
笑わせる。
ひたすら僕らは剣を振った。
目の前の敵を倒していく、ただそれだけ。
なんも共存などありゃしない。
進めば進むほど険しくなっていく。
逆に押し返されることも何度もあった。
きりがない。
はぁ
ある男「おまえらそれでええ」
僕「、、、え?」
ある男「もっとシンプルでええ」
僕「、、だれ、ですか、」
ある男「もっと剣を振れ」
僕「は、はぁ。」
ある男「もっと声出せ」
僕「はい、」
ある男「あと、挨拶はちゃんとせぇよ!」
そういうと男は去って行った。
その男こそが、後の山崎モータース。
その巨大都市を支配した男だ。
僕らはそれから変わった。
ひたすら剣を振った。声を出した。
挨拶もちゃんとした。
上には上がいる。
まだ僕らは旅の途中だったんだ。
人は人で強くなれる。
共存できる世界かぁ。
悪くない。
今日もまた旅の続き。
外に出ると、この季節には珍しく雪が降っていた。
「なんか寒ぅ思うたら、雪なんか。」
僕らは襟を立て、拳を吐息で温めながら、小走りで街に消えて行くのだった。
『虹孔雀の書』
〜瞳をとじて〜
より抜粋。
松尾魂(写真左)
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