『なんでも屋山崎猛太』11-1

第十一話

「残酷な真実」前編 

男スペシャル溝杉陸



何でも屋を営んでいた頃からは、想像もつかないほど劇的に変わってしまった歌舞伎町。


そこは荒廃した土地と、大喜利力を求めるフルスイング帝国。


この帝国は何のために作られたのか?


帝国の前王レッド軍曹の息子、損マサハルはどこにいるのか?


その秘密を聞くために、レッド軍曹と知り合いという菊池組長の元へ向かう3人の男の姿があった。


【山崎 猛太】(やまざき もうた)

この物語の主人公。

歌舞伎町で『何でも屋』という仕事を生業にしていたが、ピンサロで絶頂を迎えると意識が無くなり、荒廃した歌舞伎町で目が覚める。

そこに設立されていたのは、独立大喜利国家フルスイング帝国だった。

帝国の王『レッド軍曹』は、猛太の古い友人だったが、大喜利バトルで倒し、猛太がレッド軍曹の後継者としてフルスイング帝国の王になるのであった。


【真中田 和伸】(まんなかだ かずのぶ)

自分をアメリカ人と思い込み、軽妙なトークを繰り広げるアゴが長い男。菊池組長の孫。

菊池組長の推薦でフルスイング帝国に入国し、大喜利力とモノマネで上流階級の地位にいた。


【松尾 侑治郎】(まつお ゆうじろう)

歌うま高身長イケメン。

猛太の高校の野球部の後輩。

ロングアイランド島に移住していたが、損マサハルの配下が侵略し、バイアグラの大量生産を強いられたため、命からがら逃げて来た。



菊池組長を探すために、荒廃した土地をひたすら歩く3人。


「菊池組長の場所、何でわからへんねん!」


「だってミーは最近会ってないし、捜査は足で稼げっていうじゃない!

何でも屋でもそんな依頼やってきたでしょ?」


「はぁ、仕方ないか。何か最近ややこしい事ばかりやなあ〜。頭痛くなってくるわ」


猛太は立て続けに起こる出来事に頭を悩ませていた。


「脳みそがアリんこみたいにスモールサイズだからじゃないかい?

おーっと失礼!猛太っちはもう王様だったね!

今のは水に流してくれよ!日本の水洗トイレみたいにね!」


「ほう?その前に、お前の口から出る脱糞ジョークを二度と出ないようにしたるわ!

オラ!」


おちょくる真中田に取っ組み合う猛太。


そんな2人に目もくれず、松尾が叫ぶ。


「デカ戦車だ!デカ戦車が走ってる!」


荒廃した土地を3階建てのアパート程の大きさの戦車が横切っていく。


「なんやあれ?フルスイング帝国の持ち物か?」


「ミーはあんなデカイ戦車見たことないよ。上層部しか知らない存在なのか、もしくは敵か、、、」


猛太と真中田は思案していると、気の抜けた掛け声が隣から聞こえる。


「そりゃーー!」


ゴツン!


「わーい!当たったー!」


松尾は戦車に石を投げていた。


「おまっ!アホの子やん!何してんねん!敵だったらどうすんねん!」


焦りながらも怒る猛太。


そこに戦車が引き返し、こちらへ向かってくる。


「ほら!こっち来たやないか!どないすんねん!」


「おい!いてーな!オメー何してんだよ!ひき殺すぞ?内輪差なめんなよ?」


戦車は見えるのだが喋っている本人が見当たらない。


「す、すんません!、、、えーと、今どこから話してますか?」


キョロキョロする一同に、痺れを切らした叫び声が下から聞こえる。


「ここだよ!ここ!早く気付けよこの野郎!」


戦車の下をよく見ると、本来、車のナンバープレートの部分から眼鏡をかけた顔が出ている。


「生首だー!ジャパニーズ打ち首ー!」


取り乱す真中田。


「おい騒ぐなよボンクラ共!これだから無知な普通の人間は嫌だよ」


戦車についた顔は口が悪い。



続く

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