第二話
『小さな客人』中編
土佐兄弟 有輝
「いくつに見えるー?」
不敵な笑みを浮かべる男の子。
「コンパやないねんから…」
「コン、パ…?」
「いやなんでもないなんでもない!
んー5歳くらいか?」
「7歳!小学1年生!」
マサハルはハキハキとそう答えた。
「そうかぁ。
マサハル君お母さんかお父さんは一緒に来てへんの?」
マサハルの目線に合わせて腰を落としてそう聞く猛太。
するとマサハルはどこか寂しそうに首を振った。
子供の来客ははじめてであり
驚きと戸惑いを隠せない猛太。
「ちなみになんでおじさんのところに来たんや?」
「僕と遊んでよ」
マサハルは小さな声でそう答えた。
「お金ならあるから」
そう言うとマサハルは背負っていたリュックサックの中から沢山の札束を出してみせた。
「2000万。これで遊んでよ!おじさん!」
猛太は面を喰らって動けなくなっている。
「じゃあかくれんぼしよ!」
固まる猛太を無視して数を数え始めるマサハル。
「ちょっちょっと、あのこの金どーしたん?」
猛太は焦りながらマサハルに聞く。
「お年玉。
別に僕のお金なんだから何に使おうが勝手でしょ?」
そう言うとマサハルは顔を伏せ数字を数え出した。
「もーいーかい?」
「ちょっと…待って、どういうことや?」
猛太はこのおかっぱ子供は何者なんだと考えを巡らせる。
するとマサハルは
「なんでも屋でしょ?なんでもするんでしょ?
どんな客でもどんな内容でも依頼されたらやるんでしょ?
ねぇ!早く隠れてよ。」
「そうやけど…」
そんな猛太を囃し立てるかのようにマサハルの唱える数字の速度が上がっていく。
猛太は仕方なくカーテンの隙間に身を隠した。
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