第八話
「新たな時代」中編
パーティーズ 菅野ナオト
「うっ、うぅ?」
耳をつんざくような音に、ギラギラと光る照明 まだ目が覚めきってない猛太にはトンカチで頭を殴られているようだった。
「なんや、ここは?」
老若男女が一列に並べられ、1人ずつ台の上に立たされ、質問に答えていく。
1人の小太りのメガネの男が台に立つと巨大なスピーカーから、音が鳴る。
「こんな学校は嫌だ!どんな学校?」
「オ、オレはギブ!」
そう答えると足元の台座ががパカッと開き、小太りの男が穴に落ちていく。
「う、うわぁぁああーー」
叫びながら小太りのメガネの男が穴に吸い込まれ、台座が締まる。
スピーカーから声がする。
「次の者前へ」
猛太は怯えた顔で口を開く。
「一体これは、なんなんや!?」
「ここは、フルスイング帝国の選定部屋ですよ」
颯爽と真中田が現れる。
猛太は真中田を見つけると怒鳴り声をあげる。
「真中田! これはどうゆうこっちゃ!」
立ち上がろうとするが、体が痺れて動かない。
「ミスターモウタ 無理はいけないぜ youはピカチュウに噛みつかれたんだからさっ!」
猛太が打たれた注射はどうやら痺れ薬のようだ。
真中田を睨み付けながら問いかける。
「真中田、説明せんかい」
「ミスターモウタの耳にはチェリーパイでも詰まってるのかい? だからここはフルスイング帝国の選定部屋さ! 」
コミカルに動きながら、真中田は答える。
「フルスイング帝国!? 選定?」
唖然とする猛太に、真中田は、ウッカリと言う表情をして、話を進める。
「そうか!そうか! ミスターモウタはしばらくの間ピンサロで眠っていたから、なにも知らないのか!
だからミーが教えてあげなきゃいけなかったのか! ここはレッド軍曹が率いる新たなる国さ」
脳が情報を処理できず、頭を抱える猛太を気にする素振りもなく、真中田は大きな身振り手振りで教鞭を振るう。
「実はもう、ミスターモウタが知ってる歌舞伎町という街は無くなって、独立大喜利国家フルスイング帝国として、生まれかわったのさ!
フルスイング帝国は、従来の日本の法律も常識も通用しない! 必要なのは大喜利の強さだけ! 大喜利ができない人間はさっきの小太りちゃんのように粛清されてしまうのさ!」
猛太は男が吸い込まれていった台座を見つめ、真中田に言葉を返す。
「そっ、そんなの日本の自衛隊が許すわけないやろ!」
真中田は指を横に振る。
「ノーノー 日本のアーミーがフルスイング帝国に敵うわけ無いだろ!
だってフルスイング帝国は圧倒的科学力と軍事力をかな備えて、全ての武力を無効化にして、大喜利バトルのみで決着をつける仕組みを作ったんだから!
まさにゴッドの所業さ ミスターモウタも見たろ? あの外であった化け物を!」
猛太は記憶を振り返る。
「あの、エッタニ エッタニ言うてたやつか?」
「ビンゴ! あれはフルスイング帝国が産み出した大喜利モンスター!
エッタニJr.という生き物さ! 大喜利バトルをする以外は鳴き声しかあげないエッタニJr.の大群を前に日本軍は手も足も出ず降参したって訳さ!
ミスターモウタも実際にバトルしたから、理解してるはずだろ?」
確かに目の前で大喜利を答えた瞬間、溶けて消えていく化け物を見た猛太は、真中田のいう非現実的な発言を強く否定できかった。
「んじゃ、街に人が全くいなかったのはどうゆうことや!? 選定ってなんやねん!」
鋭く真中田を睨み付ける。
「ナイスクエスチョンだね! そう! このフルスイング帝国のトップであられるレッド軍曹の理念は、大喜利こそこの世の理であり、真実 大喜利を全力で答えられない者はいらないと考えてるんだ!
素晴らしいよね! だからさっきミスターモウタが見たように、一人一人選定を行って全力で大喜利を答えられない人達は、粛清されていってるんだ!」
猛太は何かを思い出したように目を開く。
「そ、その理念て 確か、、」
「やっと思い出してくれたか 猛太っち」
後ろから声が聞こえると、目の前にいる真中田が、びさまつき犬のように、
「軍曹様!」
と吠えた。
続く
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