第十二話
「いざドーンへ」前編
土佐有輝
巨大化した真中田和伸のアゴに猛太、松尾は乗り込み、カナヤンに聞いた方角へ向かって進み始めた3人。
真中田は巨大化により驚異的な力を手にし目的地に向かって飛行ができる能力をもった。
「ワーオ!本当にこんな日が来るなんて!一歩一歩が大きくてまるで大きくて…あのえっーとアメリカ〜ン」
ドーンへ向かうこの道は険しくジャングルである。
「この生い茂る木々たち!
まるで、そうボイルしたブロッコリーに…アフロで…アメリカの歌手の頭みたいな…アメリカ〜ン」
猛太と松尾はなにか真中田に対して違和感を感じた。
「真中田?今の気分どうや?」
巨大化した真中田は飛行しながら答える。
「すごくいい〜まるで、空を飛べるなんてセスナの…セスナの中で食べるチェリーパイ…えっとアメリカ〜!」
「いやお前巨大化してコミカルさとアメリカ特有の言い回しできひんようになってるやんか!!」
夜空に猛太の鋭いツッコミが鳴り響く。
巨大化した真中田はアメリカを失っていた。
「まぁでも鬱陶しかったからいいじゃないですか?」
松尾がボソリと呟く。
ドドドドドド!!!
地響きが夜のジャングルに響いた。
真中田が急にジャングルの真ん中で立ち止まったのである。
猛太と松尾は投げ出されるようにジャングルへ真っ逆さま。
「いてて〜。おい!なにすんねん!急に止まってなんのつもりや!」
猛太は額にできた傷を押さえながら巨大化真中田に言った。
「アメリカがでないんだよ!アメリカが!いつもならスラスラ出るのに!」
猛太は流血した膝を押さえながら
「そんなんわかってるわ!やからって急に止まるなや!」
真中田は巨大化によって失ったりアメリカをここに来て取り戻したいようだ。
真中田は瞳を潤ませながら顎を尖らせながら
「元の姿に戻ってもいい?」
そう呟いた。
松尾はポケットから何かを取り出し真中田の口の中に放り込んだ。
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カナヤン
「巨大化が鬱陶しくなったらこれを半錠飲ませたあげて?」
松尾
「これは?」
カナヤン
「私の手作りバイアグラ♡」
松尾
「手作り?きしょいなぁ!手作りでそんなもん作んなや!」
猛太
「松尾?はよ行くで!!!!!!」
松尾
「はい!!!!すぐ行きます!」
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あっという間の出来事でなにがなんだかわからない猛太であったが、
松尾が放り込んだカナヤン手作りバイアグラによって真中田は小さくなった。
不思議そうな顔をしている猛太に松尾が手作りバイアグラのことを説明した。
「いや手作りかーーーい!」
猛太のツッコミが炸裂すると共に元のサイズに戻った真中田は嬉しそうな表情で
「ワーオ!元に戻った?やっぱりあんた達はベストフレンド!
この姿に会いたくて震えてたところだったから!」
猛太と松尾は苦笑いを浮かべ2人で同じセリフをポツリ。
「カナヤンの手作りってだけあるな」
真中田は元の姿には戻ったがアメリカではなくカナしゃべりになってしまったようだ。
なにも状況を理解していない満面の笑顔の真中田の耳から最後のチェリーパイがこぼれ落ちた。
続く
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