『なんでも屋山崎猛太』13-1

第十三話

「命」前編

菅野ナオト



巨大な門がそびえ立っていた。


その物々しい雰囲気は、辺りの空気を全て飲み込むようだ。


そこに、死神の列車を待つかのように五人の男たちが門を眼前に勇み立っていた。


「ご主人! きっとここに、損マサハルはいるよ」


緊張感にそぐわない大声で山戸は猛太に吠えた。


「うるさいねん! なんで犬の時より人間になってからの方がうるさいねん」


すかさず猛太はツッコミを入れた。


「ゴゴゴゴゴ」


無駄話を遮るように、激しく音を鳴らしながら門が開いた。


「あら! あちらさんも僕たちに会いたくて会いたくて仕方ないみたいね」


真中田のカナやん節は抜けてないようだ。


門の中は学校のグラウンドの用な空間の真ん中に2階建ての一軒家がポツンと佇んでいた。


奇っ怪な空間に思わず、真中田の耳から最後にこぼれ落ちたはずだったチェリーパイが再びこぼれ落ちた 松尾はそれを食べた。


「どうやら、あの一軒家に損マサハルがおるみたいやな 皆行く・・・!?」


「フリーーーーーィイイモンキィィィイイ」


謎の叫び声が猛太の鼓舞を遮った。


声のする方に視線を向けると、派手な色使いに特徴的な金髪で、王子のような格好をしている男と猿のような見た目にニコニコとした笑顔で奇声をあげる二人組の男がいた。


「ここから先は行かさないよ 僕の投げキッスで虜にしてあげる」


「フリィーモンキィィィー」


「あいつらは・・・」


汗を吹き出しながら、焦った表情を浮かべる どっぷり藤原。


「なんや、あいつらの事知ってるんか?」


猛太の質問に山戸が割って入る。


「あいつらはオレらと同時期に鬼バイアグラを飲んで生まれた元サルと頬骨の生物ガッツマンの山口アントワネットいッくんとフリーモンキーボーイ 俺達とあいつらは怒涛の13期と呼ばれ周りのガッツマンからは恐れられているです いるよ」


山戸はいるよと上手く語尾にいれらない事を悔やみ始めたが、猛太はそれを無視する。


「それやったら、あいつら倒さんと進めへんちゅうことやな」


猛太は息をまいて臨戦態勢に入ろうとするところを、どっぷり藤原が止める。


「ご主人! あいつらは僕に任せて先に行って下さい!! 早く損マサハルの元に行って下さい!」


どっぷりは藤原は汗を吹き出しながら猛太たちの背中を押す。


「そうです! 俺達がいるよ!」。


山戸はいるよを差し込めたことに満足そうだ。



続く


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